相続の基礎知識

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相続の基礎知識

今回は、相続に関することをなるべくわかりやすく簡単にご説明します。全体の流れなども記載していますので、相続について知りたい方は、ご参考になさってください。

相続とは

そもそも相続とは、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産や預貯金などの財産を相続人が引き継ぐことをいいます。つまり、亡くなった方の財産を配偶者や子どもといった家族がもらうことです。

現在の法律では、配偶者や子ども、兄弟姉妹などの家族が被相続人の財産を引き継ぐことができますが、生前に遺言書を作成することにより家族以外に財産を引き継がせることも可能になっています。

相続の対象となる財産(遺産)

相続の対象となる財産(遺産)は、一般的に下記のようなものがあります。

・現金、預貯金、株券、貸付金など
・不動産(土地や建物など) 
・動産(自動車、家財、宝石、貴金属など) 
・電話加入権、慰謝料請求権、損害賠償請求権など
・負債(借金、買掛金、住宅ローンなど)
・未払い金(所得税、住民税、その他税金などの公租公課、水道光熱費、固定・携帯電話代、家賃、地代、入院していた病院の医療費、損害賠償金など)

相続する場合

相続する場合、相続の方法には主に下記の3つがあります。

■法定相続・・・ 民法で決められた人が決められた分だけもらう相続

■遺言書による相続・・・亡くなった人が遺言書により相続の内容を決める相続

■遺産分割協議による相続・・・相続人全員で協議して遺産の分割方法を決める相続

遺言書がある場合は、原則的に遺言書に沿って相続していきます。遺言書がない場合、民法では「誰がどれだけ相続するか」が法定相続分が決められているので、それに沿って相続していきます。これを「法定相続」といいます。また、相続人全員で協議し、それぞれの事情に応じて遺産を分けることも可能です。このことを「遺産分割協議による相続」といいます。

なお、この遺産分割協議がまとまらない場合には、調停の手続きで進めていくのが一般的な方法です。このことを遺産分割調停といい、遺産分割調停とは、家庭裁判所に申立てをし、選任された調停委員を介して相続人が話し合いをする手続きになります。話し合いがまとまらないなどともめている相続人同士が直接顔を合わせなくて済むので、感情的になりにくく、合意しやすいというメリットがあります。

さらに、この調停を利用しても話し合いがまとまらない場合、「遺産分割審判」という手続きへ移行していきます。この審判になると、裁判官が強制的に適切と考えられる遺産分割の方法を指定することになります。

相続しない場合

亡くなった方に負債などがあり、負債を相続したくないという場合など、相続を放棄することができます。その方法は下記のようなものがあります。


家庭裁判所による手続きで、相続放棄する

この相続放棄の手続きは、原則、亡くなった日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。(※3ヶ月経過していても相続放棄できる場合もあり)被相続人の負債の有無がわからない場合など、遺産の詳細を調べてから相続を放棄するかどうか決めたいという場合は、亡くなった日から3ヶ月以内であれば、家庭裁判所への手続きにより、期間を延長することも可能です。

遺産分割協議書等により、相続分を放棄する

例えば、父が亡くなり、母(配偶者)と子ども1人、相続人が計2名で、母にすべて譲って何も相続しなくてよいと考えている子どもがいた場合だと、遺産分割協議で相続しない方法があります。遺産分割協議書に「すべての相続財産は母が相続する」と記載することにより、子どもは何も相続しないことが可能です。遺産分割協議による相続は相続人全員による署名捺印が必要ですので、相続財産を受け取らない場合であっても遺産分割協議書に署名捺印が必要となります。

相続するにせよしないにせよ、まずは、相続財産がどれだけあるのか、プラスの財産とマイナスの財産をしっかりと把握する必要があります。「後でしまった見落としていた」ということがないようにしっかりと確認することをお勧めします。

遺産をもらえる人

次に遺産をもらえる人をみていきます。遺産をもらえる人は、下記のいずれかになります。

法定相続人・・・民法で決められた相続人で、亡くなった人の配偶者と、子か親か兄弟姉妹など(詳しくは「法定相続人になれる人」の記事をご参照ください。)

受遺者・・・遺産を譲り受ける人として、遺言書で指定された人

【未成年者が相続人になる場合】

未成年者が相続人になる場合未成年者には代理人を立てる必要があります。
通常、代理人は親が務めます(法定代理人)が、「親」 も 「未成年者である子」 も、ともに相続人となり、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、「親」が「未成年者である子」の代理人になれないことがあります。「親」と「未成年者である子」は利益相反の関係となってしまうからです。

このような場合、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があり、そして、この代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印などを行うことになります。(※未成年者であっても結婚しているなど、成人とみなされる場合もあり)
法定相続人の範囲を確認する方法

法定相続人の範囲を確認する方法として、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本」を集めて確認する方法があります。戸籍は、転居や結婚により、転籍することがあります。

実際の方法としては、被相続人が死亡した時点の本籍地の市区町村役場から、戸籍謄本を取り寄せます。その戸籍謄本には、どこから本籍が移されてきたのかが記載されているので、次はその前の本籍地である市区町村役場から戸籍謄本を取り寄せます。また同じようにその戸籍謄本にどこから本籍が移されてきたのかが記載されていれば、その前の本籍地である市区町村役場から戸籍謄本を取り寄せるということを繰り返し、出生したときの戸籍謄本までさかのぼるという手順が必要となります。

戸籍謄本の取り寄せには、手間と時間がかかるので、相続が発生したらできるだけ早い段階で取り寄せの手続きを始めた方が良いでしょう。

遺言書がある場合

まず、遺言書があるかどうかの確認を行います。遺言書があり、遺言の効力が有効と認められる場合、基本的に遺言書の内容に従って相続手続きを進めていくことになります。遺言書が見つかった場合の注意点ですが、遺言書の偽造や複製を防ぐために家庭裁判所で「検認」手続きをする必要があるので、遺言書は勝手に開封してはいけません。

原則、遺言の通りに相続しますが、遺言の内容によっては、その通りに相続するかどうか確認する必要があり、相続人全員の同意がとれれば、遺言とは異なる分割を行うことも可能になっています。

「遺言書」といっても、おもに下記の3つがあり、それぞれに決められた様式があり、遺言書はそれぞれの様式の条件を満たしていることが重要になります。

■自筆証書遺言・・・遺言者が、遺言の全文・日付・氏名を自書し、捺印した遺言

■公正証書遺言・・・遺言者の指示により公証人が筆記した遺言書に、遺言者、公証人および2人以上の証人が、内容を承認の上署名・捺印した遺言

■秘密証書遺言・・・遺言者が遺言書に署名・捺印の上封印し、封紙に公証人および2人以上の証人が署名・捺印等をした遺言
遺言書は勝手に開けてはいけない

いくら気になるとしても遺言書を勝手に開封してはダメです。もし、遺言書を発見した人が「自分に不利な内容だったらどうしよう」と、勝手に封を開けてしまった場合、他の相続人の方は、封の開いた遺言書を見て、「内容を書き替えたんじゃないか?」と疑う可能性もあるでしょう。

このようなことが起こらないように、遺言書には「これは正規のもので、誰の手も加えられていません」という確認が必要で、この確認を「遺言書の検認」といいます。具体的には、遺言書を発見したら開封せずに家庭裁判所にもっていき、「検認済証明書」をもらうことになります。ただ、遺言の中でも「公正証書遺言」は公証役場に原本が保管されることから偽造の可能性が低いとされ、検認を行う必要はありません。また「自筆証書遺言書保管制度を利用していた自筆証書遺言」についても法務局に原本が保管されるため、検認を行う必要はありません。

遺言執行者とは

遺言を書いた方は、自分が死亡した後に遺言が正しく実行されかどうかを見届けることができません。なので、遺言を書いた遺言者は、責任をもって遺言を実行する人=「遺言執行者」を遺言書の中で指定することができます。遺言執行者は、遺言を執行するために必要なことができます。相続人は遺言の執行を妨げることができないように民法に定められています。

遺言執行者が指定されていなかった場合は、家庭裁判所に相続人と利害関係のない遺言執行者を選んでもらうことができるようになっています。※遺言執行者は、必ず選任しなければならないものでもありません。

遺言書がない場合

次に遺言書がない場合ですが、まず、最初に行わなければならないのは「財産がどれだけあるか」を調べることです。

まず、財産目録を作る

遺産分割を行ったあと、新たに遺産が発見された場合、その新たに発見された遺産について改めて遺産分割をする必要があるので、時間と労力がかかります。まずは亡くなった方の遺産の確認をきちんと行い、財産のリストを作ることをお勧めします。また、土地や家屋・美術品といった値段がつけにくいものに関しては、評価額を決定しなければならないので、時間もある程度、必要となります。

誰が相続するか

遺言書がない場合、相続する人は【 配偶者 + 血縁関係がある人(第1順位~第3順位のいづれか) 】(法定相続人)になります。この法定相続人については、「法定相続人になれる人」の記事をご参照ください。

どれだけ相続するか

どれだけ相続するかは、相続の方法が、「法定相続」なのか「分割協議による相続」なのかによって違ってきます。分割協議を行う場合、協議を通して相続割合を決定しますが、法定相続の場合は法定相続分で相続することになっています。同順位の方が複数いる場合、その人数で相続分を割ります。法定相続分については、「法定相続人になれる人」の記事をご参照ください。

遺産分割協議はどのように行うか
遺産を相談して分けることになった場合は、「遺産分割協議」を行う必要があり、この協議に特別な方法があるわけではないのですが、次の点には気をつける必要があります。

・相続人全員が参加して協議すること
・協議の結果を書面に残すこと

分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。相続人に未成年者がいる場合は、その代理人も参加が必要となります。相続人が1人でも欠けた状態で分割協議を行うと、その結果は無効となります。

また、後々問題が起こらないように協議の結果は書面にして残した方が良いでしょう。この書類を「遺産分割協議書」といいます。

相続の全体の流れ

次に相続全体の流れを見ていきます。

1.死亡届の提出(死亡を知った日から7日以内)
市区町村の役所に死亡届を提出。一般的にですが、葬儀屋が代わりに提出していることが多いです。

2.健康保険、年金関係の相続手続き
市区町村の役所や社会保険事務所などで健康保険からの脱退や年金の資格喪失などの手続きをします。

3.生命保険・損害保険手続き
保険金受取人に指定されている方から保険会社に請求し、保険金を受取ります。

4.相続人の確定
被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまで全ての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を取得し、相続人を調査の上、相続人を確定します。

5.相続放棄、限定承認(相続の開始を知ってから3ヶ月以内)
被相続人に負債が多い場合など、相続したくない場合は、相続放棄や限定承認を検討します。これらの手続きを行う場合、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で申述をしなければなりません。

6.所得税の準確定申告、税の納付(相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内)
被相続人(亡くなった方)が年金収入だけではなく、不動産所得等の収入があった場合や個人事業者だった場合などは、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に税務署で準確定申告と税の納付までする必要があります。(※準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に進める必要がある。)

7.相続財産 (遺産や債務)の 調査
預貯金・有価証券・不動産・債務などを調査し、遺産の内容を明らかにします。状況に応じて財産目録(財産のリスト)を作成すると、後日、遺産分割協議がスムーズに進められるでしょう。

8.相続人全員で遺産分割協議
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺言書がある場合は、遺言書に従って相続手続きを進めていきます。遺言執行者がいる場合は、遺言執行者が預貯金の払い戻し、相続登記などの手続きを進めていきます。

9.不動産の名義変更、預貯金の払戻しなど
遺産分割協議(遺言による場合は遺言)、除籍謄本や印鑑証明書など必要書類を揃えたうえで、各金融機関所定の手続きによって、払戻しや名義変更を進めます。不動産については相続人へ名義変更するため、相続登記の申請を法務局に行います。

10.相続税の申告(相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)
遺産総額が相続税の基礎控除を超えてる場合、相続税の申告、納税しなければなりません。税務署に相続税の申告をし、相続税の納付を行います。(特例や控除等が適用されることにより、納税が不要となる場合もあります)※相続税の申告と納税は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に進める必要があります。

以上が一般的な相続手続き全体の流れですが、個別の事情により、上記とは異なる流れになることもありますので、ご了承ください。

相続にかかる時間

では、実際にはどれだけ時間がかかるのかというと、それぞれのケースで異なり、これくらいで完了できますと断言できません。ケースバイケースということになります。

相続税申告の有無、不動産の所有数や銀行口座数でも大きく異なってくるでしょうし、遺産の分割方法が決まるまでの時間も関係してくるので、個別に詳しい事情をお伺いする前に「いつまでに終わります」と断言することは一般的にはできません。

スムーズにことが進んだとしても、相続財産を確認し、相続人同士の遺産分割協議を終えて、預貯金などの相続財産を使えるようになるまでには、3カ月程度、期間が必要となるでしょう。また、財産の種類が多く確認に時間がかかったり、遺産争いになったりした場合は、長ければ数年かかる可能性も考えられます。つまり、実際に必要となる期間は、相続財産の多寡などや様々な個別の事情によって変わってきます。

最後に

相続に関すること全てを記載できたわけではありませんが、この記事が少しでもご参考になれば、幸いです。当社には「相続診断士」がおり、ご相談いただいたお客様に適切なアドバイスを行なっていますので、この記事では解決できなかった問題やご質問、ご相談などがある場合は、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたスタッフ

営業部不動産の売買、仲介、賃貸、管理
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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